[コソ鍋・拾漆]Take it easy~能登鍋に学ぶ自然体
「第9回ニッポン全国鍋合戦」を制した日本一の鍋、「能登鍋」
馮です。
3月に入ったにも関わらず、都内でも雪がちらつきました。まだまだ春は遠いかな?
さて、今回紹介するのは「能登鶏(のっとり)鍋」。なかなか面白いネーミングです。こちらの鍋を紹介する前に、本流でもある「能登鍋」について少しだけご紹介します。
きちんと定義付けしないところが能登鍋の魅力
まずは「まいげん能登鍋ウェブ」さんのサイトから能登鍋の定義を引用させていただきます。
- 能登の香りがするベースを使う
- 能登のおいしい食材でつくる
- 地元産の練団子を入れる
ふむ。しっかりと定義されているようで、「能登の香りがする」「能登のおいしい食材」などけっこう曖昧な表現です。実はこれがポイント。
皆さん、世界農業遺産ってご存知ですか?2002年に国連食糧農業機関により制定された、「伝統的な農業と、農業によって育まれ、維持されてきた、土地利用(ため池、農地、水利施設など)、技術、文化風習、風景、そしてそれを取り巻く生物多様性の保全を目的に、世界的に重要な地域」のこと(Wikipediaより)。
なぜこれを出したかというと、能登は先進国で初めて世界農業遺産に指定された地域で、そこに選出されるぐらいの地域だからこそ、「能登」にあるすべてのものが特徴的なわけで、そんな能登にある食材を、具として、出汁として、調味料として鍋に使えば、それがそのまま土地に根ざした鍋になるということなんだろうな、と考えられたからです。この枠の広さ、いいですね。
前述の「まいげん能登ウェブ」さんにも、「能登では地理的・文化的な背景から豊かな食文化が根付き、それが継承されている地域」と書いてありますが、とにかく「能登」らしさを出すことが、「能登鍋」の特徴かつ魅力になるわけです。そういう意味でも、あえて具体的な食材に限定せず、作り手に委ねているんだと思います。つまり同じ名前(能登鍋)で括ることはできる一方で、作り手の個性(たとえば調味料や練団子の作り方)を入れる余白がある鍋、これはなかなか奥が深い。
ちなみにこの「能登鍋(正確には「能登豚塩糀鍋」)」、日本最大級の鍋料理コンテスト「ニッポン全国鍋合戦」の昨年度の覇者だったりします(ニッポン全国鍋合戦についてはまた別の機会に改めて紹介します)。
鶏の味をしっかり楽しめる能登鶏鍋
この日本一を獲得した「能登鍋」の中から、今回紹介するのは「方舟 新橋店」さんでつつける「能登鶏鍋」。能登鍋の定義に則りつつ、こちらのお店の工夫として鶏の手羽を入れ、さらにネーミングを能登鶏(のっとり)と付けた、能登の魅力をベースに、方舟スタイルの個性を加えた鍋となっています。
見た目はこういう感じです。
鶏ガラのスープに天然塩だけのシンプルな味付けとのことなんですが、鶏の手羽やモモ、練団子、そして白菜・ネギ・ごぼうと豊富な能登野菜が煮込まれることで、かなり濃厚でそれでいてすっきりとした味が楽しめました。
ちなみに、今回はお腹いっぱいで食べられなかったのですが、こちらのお店は囲炉裏できりたんぽを焼いて鍋に入れることができるそう。まさに本場のきりたんぼ鍋を「乗っ取る」くらいおいしいということで「能登鶏(のっとり)鍋」というネーミングになったのだとか。このセンスは秀逸!
Take it easyの気持ちで
能登鶏鍋、すごくすごく美味しかったです。でもそれだけではありません。他の料理も日本酒もどれも美味しく。
こちらは鯛の酒蒸し。八海山を使っているそう。ヤバイ。
美味しい肴があると酒も進みます。こちらは富山の日本酒「満寿泉 冴」。グイグイっとね。
さらに、今回は一緒に鍋をつついた方の誕生祝いも兼ねた会だったので、「誕生日と言えばスパークリングじゃないか」ということで注文したのがこちらのお酒。北陸は新潟から生まれた「八海山 純米発泡にごり酒」。
こちらでシュワシュワと乾杯しました。日本酒の発泡にごり酒、そして世界農業遺産の鍋。なかなかオツな誕生会となりました。
そして、おもいっきり話が変わりますが(笑)、今このブログを書きながらスパークリングで思い浮かべたのがこの曲です。過去このブログで何度か登場しているSCANDALの、その名もズバリ『Sparkling』。
どうですか? アップテンポですごく元気が出る曲で、僕自身SCANDALの楽曲の中でもとくに好きな曲の一つ。とくにイントロで出てくる「Take it easy!!」のフレーズが良いですね。肩ひじ張らずに、歌って踊って気楽に行こうぜ的な 🙂
で、もう一回能登鍋と能登鶏鍋に話を戻します。
今回の能登鶏鍋をつついて食べてみて感じたのが、能登鍋の魅力というのは、まさにこの「Take it easy!!」な感覚。たとえば、鶏に白菜にネギにごぼう。いわゆる鍋に入っていそうな食材です。一つ一つには特異性はなくシンプルな組み合わせ。でも、実はそれらを生み出した地域の魅力が伝わってくる味。肩肘を張らず気楽に自然体で鍋を作り楽しめるこの感じは、まさに「Take it easy!!」な鍋だと思いませんか。
これからもTake it easyな気持ちで、自然体に、鍋、つつこ。
(文責・馮)
今回つついた鍋
種類: | 能登鶏鍋 |
店名: | 方舟 新橋店(新橋) |
URL: | http://r.gnavi.co.jp/a318800/ |