[コソ鍋・弐佰弐拾]日本も中国も東北地方には鍋が似合う?青森がつないだ輪とともに、味坊鉄鍋荘で红焖羊肉と酸菜白肉を囲んでつつく
青森をハブに、人が集まる
最近、青森にハマってます。仕事で2年前に青森を訪れたのがもともとのきっかけです。その後、何度か訪れる機会があり、今年の夏はついにプライベートで青森ねぶた祭と弘前ねぷたまつりをこの眼で観て、体感することができました。
鍋、つつこ。でも、過去4回ほど青森でつついた鍋を紹介しているほか、都内でも青森にちなんだ「青森シャモロックの水炊き」や「義経鍋」をつつくなど、メンバー大崎のタイ鍋にも引けをとらないぐらい、鍋、つつこ。的にはイチオシの土地の1つ。
前置きが長くなりましたが、今回紹介するお店「味坊鉄鍋荘」さんと鍋「红焖羊肉」「酸菜白肉」は、その青森がハブとなって訪れ、つついたものです。
というのも、2年前に青森に訪れた際、僕を青森に引き込んだ犯人もとい恩人である大浦さんが来京され、仕事の打ち合わせ後にせっかくなので鍋でもということでご紹介いただいたのがこちらのお店でした。
名前からして「鍋」の醍醐味が伝わってくる、東京湯島にある「味坊鉄鍋荘」
こちらのお店は、神田にある老舗中華料理店「味坊」さんのオーナー梁宝璋さんと、今回大浦さんにご紹介いただいた小林淳一さんの両名が共同オーナーを務める店。
ちなみに小林さんは東京メトロの駅構内で配布する月刊フリーマガジン 『metro min.(メトロミニッツ)』、食材のカルチャー誌『旬が まるごと』の編集長を経て、今に至るそう。
味坊鉄鍋荘さんは店名に「鍋」の文字が入っているとおり、鉄鍋が主役の料理が堪能できるんです。それも梁さんが育った中国東北地方の料理です。さらに!食材は日本の東北を中心に、小林さん自身が足を運んで選んだ選りすぐりのものを使っているという、まさに日本と中国の東北を満喫できる、僕たち鍋、つつこ。にピッタリのお店。お誘いいただいたときからもう楽しみで待ちきれませんでした。
さっそく店に到着。入口横のこのオブジェに目を引かれます。
そして、ビルの入口を進むと……
一見普通の店構え。でもよく見てください。テーブル中央には蓋があります。そう、これが鉄鍋なんです(詳しくは後ほど)。
こちらは厨房。ここで好吃(ハオチー:中国語で美味しいの意)な料理が仕込まれるわけですね。
さて着席。その前に。気になる蓋を取ってみると……。はい、鉄鍋登場。
鍋のワンショットも押さえて。
さらにせっかくなので鍋の下もチェック。
羹=羊+美。 あつもの=ひつじ+おいしくたべること。
着席までだいぶ時間がかかりました・笑
テーブルに置かれていたメニューがこちら。
羹=羊+美
と書かれています。味坊鉄鍋荘の名物料理は鉄鍋を使った煮込み料理。そして、中国語で羹とは肉を煮込んだものののことを意味し、「あつもの=ひつじ+おいしくたべること。」という、名物の中でもとくに名物である羊を表現したもの。こうしたちょっとした工夫が、来店した客を惹き付けてくれます。いいね!
それから、三々五々、本日の参加者(最終的に9名)が集まってきてオーダーを開始。オーダーは基本的に小林さんにお任せ。さっそく写真とともにご紹介します。
前菜5品+食欲をそそるスープ
前菜。一気にどうぞ。
すべてが揃うとこんな感じです。いま紹介した5品のほか、3品、計8品の前菜です。写真にはまったく写ってないのですが、干豆腐を使った前菜、あれは絶品だったなー。次回訪問するときはきちんと写します!
余談ですが、僕は父方が中国出身なので中華料理は身近でとくに子どものころは大勢で食事をする機会が多かったです。こういう形で、前菜を大勢で取り分ける雰囲気、いいですね。テーブルが華やかで、その場が楽しくなっていきます。
前菜も終わり、いよいよ鍋。と思いきや。小林さんからもう1品オススメされました。羊雑湯(ヤンザータン)。羊のモツのスープです。もちろんオーダーしましたよ。
これ、羊の味がしっかりとありながら、あっさりしていて止まらない!やばい。羊独特の風味が強いにもかかわらず、あっさりとしているという。言葉にすると矛盾する、そしてクセになる味です。
そこにさらに新しいアクセントとして加えるのが唐辛子油。味の変化が楽しめます。
唐辛子の辛さと油のコクが、羊のクセを和らげてくれるサポーター的な役割です。
いよいよ本番。鉄鍋料理の登場
前菜だけで満足しそうなところで、ついに主役の鍋料理の始まりです。この日は羊肉(ラム)の肩ロースを大根とともに炒めて、鶏の出汁で煮込んだ「红焖羊肉(ホンムンヤンロウと読みます)」と、白菜の塩漬けが主役の、旨味と酸味がたっぷりの「酸菜白肉(スヮンツァイパイロウ)」の2鍋。酸菜白肉で使われる白菜は青森県の南部町で採れたもの。
いやー、どんな鍋なのか楽しみですね!
红焖羊肉
まず最初に準備が進められたのはこちら。红焖羊肉。すでに厨房で準備された鍋をテーブルにセッティングします。
鶏の出汁で煮込まれた羊肉が入った鉄鍋に、角切りの大根を大胆に投入。
しばらく煮込んで完成ではありません。次にこちらを。
何だ?と伺ったところ、トウモロコシ粉を水で練って作る「鍋貼(グゥォティェ)」という食材だそうです。鉄鍋に貼り付けて蒸し焼きにするとのこと。
ポップな見た目になりました。
まだまだ完成ではありません。次はこちら、そう、ほかの中華料理でもよく見かける「花捲」。中華蒸しパンといったものでしょうか。
花捲を乗せて蓋をしてあとは煮込むだけ。
ついに完成!じっくり煮込まれた羊肉と大根、そして蒸し焼きにされた鍋貼と花捲。
取り分けていただき、いよいよ実食。
いやー、美味い。鉄鍋でしっかりと煮込むことで羊肉と大根には鶏出汁、醤油、そしてそれぞれの素材から滲みでた味がしっかりと染み込み、さらに蒸し焼きにされた鍋貼と花捲の食感と味わいのバランス、最高です。これ、1人で全部食べたかったぐらい(量的に無理だけどw)。
酸菜白肉
もう1つの鍋がこちら。酸菜白肉です。実はこちらの鍋は红焖羊肉と並行して並行して厨房で準備されていました。
たっぷりの白菜の塩漬け、豚肉、そして春雨。見た目は红焖羊肉とうって変わって白系統です。
下ごしらえが終わり、テーブルに鉄鍋を移動して。最後の締め括りにパクチーを乗せて完成です。
こちらも美味そう!ちなみにこの白菜、先ほど店内の写真にあった右側赤い蓋の瓶の中にたっぷり漬けられていたものです。
鉄鍋+鉄オタマで取り分けていただき。
いただきます!
こちらの味は、とにかく白菜の旨味がすごい。漬物なので酸っぱいかとおもいきや、火を通して煮込んだことで、酸っぱさよりも甘みがすごい。実は僕、漬物が苦手ではあったんですが、この食べ方であれば苦手どころか、好物になりそう。こちらは量的にも1人で全部食べられそうな、そんなあっさり感と旨味でした。
ちなみに鉄鍋煮込み料理はまだまだほかの種類がありました。これは早く全制覇したい!今度は鍋、つつこ。メンバーで訪れよう 🙂
最後は中国東北地方名物の水餃子
もう満腹!とも思いつつ、最後に中国東北地方名物の水餃子。鉄鍋でたっぷり煮込んで、黒酢でいただきます。ちなみに、中国では餃子というと、焼きよりも水餃子や蒸し餃子が多いですね。
満腹ではありつつも、このさっぱりするっと入ってしまうのが水餃子のニクいところ。美味いね!
東北には鍋が似合う?
さて、最初もご紹介したとおり、こちらは中国東北地方に伝わる鉄鍋料理を、日本の東北地方の食材を活かして楽しめる店です。そういえば、日本の東北地方にも、青森八戸せんべい汁や宮城・山形の芋煮、秋田のきりたんぽ鍋、岩手ひっつみなどなど、たくさんの鍋料理がありますね。鍋、つつこ。でもたくさん取り上げています。
さらに、メンバー大崎がエバンジェリストになっているタイのチムチュム、あの鍋もタイの東北地方イサーンの名物料理。
あれ?もしかして、どの国でも東北地方は「鍋」が似合う? そんなちょっとした発見ができた夜となりました。
鍋を囲んでつついて、みんなで楽しむ。鍋の醍醐味
前菜に、红焖羊肉に、酸菜白肉に、水餃子に。オーナー自らのセレクトで中国東北地方の料理・鍋を満喫できました(小林さん、ありがとうございました!)。
美味しい料理とともに、素敵な仲間と楽しい会話と。ちなみにこの日は大浦さん以外に全部で7名、計9名集まったのですが、そのうち6名は初対面でした。共通項は「青森」。大浦さんや小林さんが青森・弘前で会ったように、参加した皆さんが青森や弘前に訪れたり、また、興味を持ってこれから訪れる予定だったり。参加者の中には弘前シードル工房kimoriを運営している高橋さんもいらっしゃいました(こちらのシードルも絶品です)。まさに「青森」がハブとなり、人が集まりました。青森の魅力を東京で満喫できました。
そして、鍋を囲んでつつけば、誰もがみんな打ち解けて仲間になれる、まさにこの鍋、つつこ。のコンセプトを体現した時間でもあったわけです。
これからも、みんなでワイワイ、美味しく楽しく、鍋、つつこ。
(文責・馮)
今回つついた鍋
種類: | 红焖羊肉、酸菜白肉 |
店名: | 味坊鉄鍋荘(東京・湯島) |
URL: | http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13189676/ |