この記事は、鍋 Advent Calendar(ナベント)2020、2日目の記事です。
Advent Calendar 2020
https://adventar.org/calendars/5286
コロナ禍で全世界の日常が変わってしまった2020年。今日は、コロナ禍から新しい発想で考えた「ニューノーマルな鍋」について考察します。
そもそも「鍋」の定義とは?
まず、そもそも鍋の定義について改めて考えてみましょう。まずはこちらの記事をご覧ください。
この記事では、次のように鍋を定義しています。
- 食卓の中心に調理具がある
- 全員分の具材をそこで調理する
- みんなで取り分ける
さて、コロナ禍の真っ最中、2020年の日本でこういった料理を気兼ねなくできるでしょうか?
前提として、同じ屋根の下で生活している家族とともに、それぞれの健康が確保できている状態であれば十分実現できます。しかし、家の外、飲食店や家族以外の友人・知人と一緒に鍋をつつく、となると、なかなか厳しい状況です。
とくに「ソーシャルディスタンス」と言われているように社会的距離を確保して、さらに、新型コロナウィルスの主な感染経路とされている飛沫感染や接触感染を考えると(参考:厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)より)、1はともかく、2、3はなかなか難しい状況です。
その中で、まずは、パッと思いつく形で、1~3の定義を可能な限り実現できる、ニューノーマルな鍋を考えてみました。
コロナ禍の生活様式から考える「ニューノーマルな鍋」
①お取り寄せ~ソーシャルディスタンスの確保(その1)
これは、前述のとおり、家族で外の店ではなく、お取り寄せの鍋で楽しむいわゆる「家鍋」です。
家庭でのお取り寄せであれば、同じ食卓で、みんなで同じ食材を囲んで調理して、取り分けて、1つの鍋をつついて楽しめますね。
ただ、友人同士となると、厳密な検査やある程度同じ期間の生活を過ごした上ででないと少しむずかしいかもしれません。
②オンライン鍋~ソーシャルディスタンスの確保(その2)
続いて、そう、オンラインで楽しむ、いわゆるオンライン鍋です。コロナ禍で一気に市民権を得た「オンライン〇〇」。働き方の形であるテレワーク・リモートワークを筆頭に、オンライン飲み会、オンライン会議、さらにはオンラインお見合いなどなど、オンラインを活用した日常生活が一気に増えました。鍋をオンラインでする、というもの。
ちなみに、僕たち鍋、つつこ。メンバーもこの夏、実践してみました。
さて、このスタイルを前述の鍋の定義に当てはめてみましょう。
まず、「1. 食卓の中心に調理具がある」ですが、個々人の食卓の中心(か、その近く)には鍋があるのでOK。次に「2. 全員分の具材をそこで調理する」。これは、うーん。全員分の調理を同じ場所では調理できていませんね。ただ、「そこ」というのを、参加メンバー個々人の鍋で調理とすれば、ぎりOKかな? 最後の「3. みんなで取り分ける」についても、2と同様、自分で鍋を取り分けるということでぎりOK?
まあ、正直、同じ鍋ではないので、かなり無理筋ではありますが、インターネットとディスプレイを通じ、(自分の)鍋をつついて、会話を楽しむという、鍋の醍醐味は楽しめていますね。
③お一人様鍋の集合体~ソーシャルディスタンスの確保(その3)
次に、これは、最近外食産業で目にし始めた、ニューノーマルな鍋の形。まず、これらのプレスリリースをご覧ください。
冬のごちそう シェアしなくともいろいろ楽しめます!養老乃瀧 今年もあります!お一人様鍋料理!
今冬は和漢素材の一人鍋で温まろう!養命酒製造プロデュースの「和ダイニングくらすわ」が11/18より新メニュー、「黒養一人鍋(信州十四豚・旬野菜・〆の麺)」を提供開始。
他にも、2020年はこの形が多く見られるようになり始めました。リリースに書かれているように、同じテーブル(空間)で、あらかじめ参加者人数分の一人鍋が用意され、その鍋で思い思いの鍋を楽しむという形。飲食店なので、味の担保もしやすいですし、たとえば、席ごとにアクリル板の間仕切りなどもされるでしょうし、これは、ソーシャルディスタンスを確保した、ニューノーマルな鍋の形にかなり近い!
ニューノーマルな鍋の可能性と課題
以上、まずは、ソーシャルディスタンスを確保する3パターンのニューノーマルな鍋について考えてみました。1つ目のお取り寄せは、外→家という、いわゆる#StayHome型、2つ目のオンライン鍋は、令和ならではのスタイル、3つ目は、まさに、今ある形を活かしつつ、制限に合わせてスタイルを進化させた、アップデート型のニューノーマルな鍋。
個人的には、この3つの組み合わせも楽しいんじゃないかと思いました。具体的にはこのような手順です。
■ニューノーマルな鍋マニュアル
- 鍋の仲間と集まる日時を合わせる(時間の同期)
- 同じお取り寄せ鍋を、合わせた日時に用意する(味の同期)
- インターネットを通じてオンライン鍋の準備と実施(コミュニケーションの同期)
- ディスプレイ越しに、それぞれの鍋をつつき、会話を楽しむ(ニューノーマルな鍋の同期)
どうでしょう?
これであれば、冒頭で定義されている
- 食卓の中心に調理具がある
- 全員分の具材をそこで調理する
- みんなで取り分ける
を、新しいスタイルで実現できていると思います(2、3は変則的ですがw)。ビフォアーコロナの鍋とは異なる準備が多く、非常に手間がかかりますが、これもまた、ニューノーマルな鍋の形として非常に楽しめそうな予感がしてきました(僕だけ?w)
ただ、1つだけ課題があります。そう、「鍋奉行」の存在です。
どうする?鍋奉行
もう1つ、ニューノーマルな鍋でクリアしなければいけない課題がこの「鍋奉行」の存在です。
鍋奉行とは、鍋をつつく空間を仕切る、いわばディレクター、映画で言えば監督の存在です。鍋奉行の腕で、鍋の味だけではなく、その場の鍋全体の世界観が大きく変わるほど、重要なポジションです(捉え方に個人差はあります)。
しかし、先ほど定義した形のニューノーマルな鍋ともなると、同じ場所で、1つの鍋で調理するわけではないことが多く、存在そのものが成立しません。ん? これはもしかして、日本の鍋文化を彩ってきた鍋奉行絶滅の危機かも。
僕たち鍋、つつこ。では、そんな危機もなんとか回避して、未来につながる鍋文化を伝承し続けたいと思っています(大げさ)。
そこで、です。先ほどまとめた「■ニューノーマルな鍋マニュアル」。この手順を1つの指標として、ニューノーマルな鍋奉行を定義したいと思います。
このマニュアルに従って、ニューノーマルな鍋に参加しているメンバー全員の満足度を高めること、いや、高められる人こそ、ニューノーマルな鍋奉行と言えるのではないでしょうか?
さらに細かく言えば、オンライン鍋を始める前に、鍋奉行役の人が、鍋の煮込み方やつけ汁など、味変要素についてパラメータ化して、それをオンラインドキュメントとしてシェア、そして、4つ目の「ディスプレイ越しに、それぞれの鍋をつつき、会話を楽しむ」のタイミングで各人が鍋をつつく中で、ニューノーマルな鍋奉行がコーチングしながら味の質を保つ、なんていうのもありかも。やりすぎかな?!w
でも、鍋マエ・鍋ナカ・鍋アト(つまり鍋の準備から後片付けまで)、しっかりこなせるニューノーマルな鍋奉行、僕はいいと思います!(目指そうw)
それでも、できる形で楽しめるのが鍋の良さ
以上、つらつらと、そして、主観たっぷりにニューノーマルな鍋、そして、ニューノーマルな鍋奉行について考察し、まとめてみました。
繰り返しになりますが、2020年12月2日現在、新型コロナウィルスは全世界で猛威をふるい、状況はまだまだどうなるかわかりません。その中で、「食べる」という人にとってとても大切な生命活動、その1つである「鍋」についても、この厳しい状況の中で、少しでも楽しく、そして、1人でも多くの仲間と共有できる時間を作れればと思って、今回の記事を書いてみました。
まずはさっそく、鍋、つつこ。メンバーでニューノーマルな鍋を実施してみたいと思っています(参加希望の方、メンバーの誰かに声かけてください)。
そして、来年の鍋 Advent Calendarの時期には、また、去年までと同じようなスタイルの鍋、そして、そこに開発途中のニューノーマルな鍋が進化したものも加わって、今まで以上に、鍋文化が広がっていることを願っています。
この記事は、鍋 Advent Calendar(ナベント)2020、2日目の記事です。
Advent Calendar 2020
https://adventar.org/calendars/5286
(文責・馮)