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[コソ鍋・弐佰壱]その手は桑名の……はまぐりしゃぶしゃぶ、つつこ。

昔の春、今の春

6月、全国各地で梅雨入りしています。

今年は例年よりも雨が少ないようですが、この時期の雨は恵みの雨。夏に向けて大切な季節です。そして、梅雨の終わりとともに春の終わりが告げられます。

今は春というと、4~6月を指すことが多いですが、陰暦を使っていた昔は1~3月を「三春」と呼んで春を指していたようです。その、昔の春の旬のものの1つが「はまぐり」。あの、整った、それでいて1つとして同じ組み合わせのない貝殻と、その中にはぷりっぷりの身が入っていて、焼いても煮ても美味しい食材です。このはまぐりの産地として有名なのが、先月末、世界各国の首脳が集まって行われたサミット会場となった伊勢。中でも伊勢桑名のはまぐりはその大きさ、身の付き方から多くの方に好まれ、食べられています。

前置きが長くなりました。東京でこの伊勢桑名のはまぐりを食べられるお店、それが今回ご紹介する有楽町ビル地下1階にある「伊勢桑名 貝縁」さんです。

有楽町ビル地下1貝もとい地下1階にあります。

はまぐり料理ばかりなり

こちらの店はとにかくはまぐり料理がいっぱいあるんです。このキッチンの向こうで、さまざまなはまぐり料理をつくってくれます。もちろん、はまぐり以外の料理も 🙂

カウンター越しのキッチン。

今回のお目当てはこちら。

どーん!

その手は桑名の焼き……ではなくて、生はまぐり。

そう、はまぐり。「はまぐりのしゃぶしゃぶ」です。

鍋はこちら。うっすらと下味のついた出汁スープ。

昆布に薄っすらと調味料で味がついた出汁スープ

シンプルにこれだけです。はまぐり、鍋、出汁スープ。

シンプルな姿。

あとは火を着けてはまぐりを煮るだけ。

はまぐりを入れて煮るだけ。

貝が開いたら食べごろです。

貝が開いたら食べごろ。

はまぐりのみ。ただひたすらにはまぐりを貪る。贅沢。

贅沢すぎる!

このぷりっぷりの身の食感、そして、味が最高。

ぷりっぷりの身。

食後には貝殻のみが残ります。

食後の貝殻。

〆の雑炊がまた絶品

〆はもちろんこの出汁を活かして雑炊を。あまりに美味しすぎて全然写真を撮らなかったんですがw、本当に美味かったです。はまぐりって、なんでこんなに有能なんでしょうか。

〆ははまぐりの出汁たっぷりのスープでつくった雑炊。

その手は桑名の焼きはまぐり!

そうそう。桑名のはまぐりと言えば、このことわざが有名です。

その手は桑名の焼きはまぐり

この意味は「うまいこと言ってもだまされない。その手は食わない」という、「桑名(くわな)」という地名と「食わない」の語感を掛けた洒落によることわざです。

でも、食いました。焼きはまぐりも。

その手は桑名の、いや、食います。焼きはまぐり。

こちらでは大きさを3つ用意してくれて、大きさによる味と食感の違いが楽しめます。こういう遊び心がまた良いですね。

古くから日本に馴染みのある、はまぐり

今回は最初から最後まではまぐり尽くしでした。いかがですか?

このはまぐり、古くは縄文時代から日本に馴染みのあるもので、食材としてはもちろん、道具として利用されてきました。また、『日本書紀』にも記述があるなど、日本という土地に根付いていた貝です。先ほどのことわざだけではなく、ほかにも「貝合わせ」といった平安時代の遊びで使われたり、碁石の素材として利用されるなど、その用途は多岐にわたります。一方で、日本産のはまぐりは野生絶滅とのこと(千葉県レッドデータブック)。現在はチョウセンハマグリやシナハマグリ、ホンビノスといった外来種の流通が多いようです(ホンビノスについては「[コソ鍋・佰玖拾壱]神奈川・横須賀・相模湾で獲れた食材から閃いた~鍋、つつこ。オリジナル:ホンビノスのクラムチャウダー鍋」もご覧ください)。

時代とともに、その存在感が変化する、そして、ずっと日本に馴染みのあるはまぐり。食材を深掘りして日本の歴史・文化を知りながら、鍋を楽しむのもまた一興ですね。

日本の歴史と文化を学びながら、鍋、つつこ。

(文責・馮)

今回つついた鍋

種類: はまぐりしゃぶしゃぶ
店名: 伊勢桑名 貝縁(東京・有楽町)
URL: http://r.gnavi.co.jp/gb46018/
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