日本は四季がはっきりしていると言われます。
四季の変化が他の気候に比べて大きいのは温暖湿潤気候の特徴でもありますが、日本の国土が南北に長く、温暖湿潤にはまらない気候区分も存在することが、日本人を気候やそれに付随するさまざまな事象に対して敏感にした要因であるような気がします。
ちなみに四季の変化が激しいことで大きく影響を受けるのはなんといっても食べ物となる動植物の生育。
「初物」という言葉もあるように、四季折々の旬な食材を尊重する風習は日本の料理を豊かにしてきた一因といえるでしょう。
夏の旬野菜で代表的なものといえば、
- きゅうり
- とうもろこし
- なす
- トマト
- 枝豆
などが代表的なところでしょうか。
これらは夏の暑い季節に失われやすい身体の成分を補給することができる食材といわれ、やはりその季節季節の旬の食べものを採ることは自然の摂理にかなっているのかなとも思います。
ちなみに今回紹介する「じゅんさい鍋」のじゅんさいも夏が旬の食べ物。
漢字では「蓴菜」と書き(難しい字ですね)、蓮などと同じように、水中に根をはり葉を水面に浮かべる植物です。
ぬめりが特徴的なじゅんさい
知人に秋田出身の方がいて、大量のじゅんさいをいただきました。
じゅんさいといえばなんといってもあの「ぬめり」が特徴的。
葉のまわりに絡みつく透明でぷるっとしたぬめりが、じゅんさいの食感に大きく貢献しています。
またこのじゅんさいは万葉集にも登場しているようで、はるか昔から日本人のそばにあった食べ物といえそうです。
吾が情(こころ) ゆたにたゆたに 浮蓴(うきぬなは) 辺(へ)にも奥(おき)にも依りかつましじ 〜詠み人知らず〜
ほかにも京言葉で「じゅんさいな」という言葉があるそうで、その意味は「いいかげんな」というものだそう。
じゅんさいを箸で掴もうとするとわかりますが、そのぬめりで滑ってしまい、なかなか捕まえることができません。
そこからのらりくらりとかわす⇒いいかげんなという意味に派生したのかもしれません。
さて、こちらのじゅんさい、食べ方の代表的なものとしては三杯酢などで和えるもの。
冷やしたじゅんさいとお酢を和えるだけで、ちょっと特別なおつまみに。ビールが合います。
とはいえ今回大量にいただいていますので、さすがに和え物だけだともったいない。ぜいたくにたっぷりのじゅんさいを使ったじゅんさい鍋を作ってみることにしました。
ぷるぷるじゅんさい鍋はあっさり、さっぱり
具材はお好みでよさそうだったので、今回はこんな感じで。
- たっぷりのじゅんさい
- 白菜
- えのき
- エリンギ(キノコをもう一種類足したかったが舞茸がなかったので)
- 人参
- 鶏肉
1人用の鍋に盛り付けます。
しばし加熱してできあがり!
出汁にいれて加熱するとじゅんさいのあのぬめりが取れてしまったりしないのかな? と思ったら、それは杞憂。
しっかり絡みついたままで残っていました。
ちなみに鍋にした場合はこのぬめりが危険。五目麺のあんかけがなかなか冷めないように、このぬめりも熱さをしっかりと捕まえています。
ちゃんと冷まして食べないと、やけどしてしまいそうな熱さでした。
熱を通してもじゅんさいのぬめりとその中のシャキシャキ感はのこったまま。酢和えと違った調理方法でもじゅんさい特有の食感は残ったままで、美味しくいただくことができました。
まだまだ残っているので、次はどんな食べ方をしてみようかな。
旬の野菜で、鍋、つつこ。
(文責・大崎)
今回つついた鍋
種類: | じゅんさい鍋 |
店名: | 自宅(埼玉) |
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