さて、前回はメンバー馮がつついた鍋レポートでした。今回は大崎のつついた鍋をご紹介します。
胃の許容量をふまえて選んだ鍋は以下のとおり。
基準はルーツ+α
1. 田舎つながり
母がたの田舎が岡山県津山市のすぐそばなので
- 津山牛そずり鍋(岡山県津山市)
2. 地元埼玉つながり
現住所が埼玉県なので、やはり埼玉を応援! ということで
- タマシャモすき鍋(埼玉県:坂戸市)
- 超~旨っ!所沢野菜とトマトの絶品鍋(埼玉県:所沢市)
「こしがや鴨ネギ鍋」や「武州深谷煮ぼうとう」もあったけど、埼玉西部地区を優先したので選外。ごめんなさい。
3. 名前への興味
- はっと汁(長野県:佐久市)
- 竹千代鍋(静岡県:静岡県静岡市)
計5鍋をつつくと心に決めて、いざ、鍋、つつこ。
津山牛そずり鍋(岡山県津山市)
まず最初は岡山は津山発の「津山牛そずり鍋」。
津山といえばホルモンが有名ですが「そずり」とは…?
という疑問に答えるパネルが店頭に。さっすが津山人。親切!
- 「そずり」とは津山の方言で「削り取る」という意味
- 骨やすじの周りの肉を削り取った部分や、カットした後にできる端っこのお肉のこと
なるほど、MOTTAINAIを体現したような鍋ですね。
「ぎょうさん」とか「みんちゃい!」とか、幼少時に聞いた津山弁が耳に心地良い解説です。
あったかできたての鍋を「ひろ」さんがよそってくれます。
醬油ベースで思ったよりもあっさり味のスープに、もやし、にらがたっぷり。牛そずり肉もたっぷりで食べ応え良し。
この日の初鍋、おなかが空いてた時に食べたという補正を考慮しても、いい感じ!
美味しくいただきました。
<採点:★5つ、☆は0.5>
総合点……★★★★☆
鍋の味……★★★★☆
津山弁のなつかし度……★★★★★
タマシャモすき鍋(埼玉県:坂戸市)
続いては、うちの嫁さんの出身地坂戸から「タマシャモすき鍋」
タマシャモって埼玉名産だったんですね。今回初めて知りました。
彩の国地鶏タマシャモは飼育日齢最低150日〜240日までと、長期に飼育して味と歯ごたえ、コクを出します。保水性がありジューシーな肉になります。
彩の国地鶏タマシャモ – 日本食鳥協会
ほぼ地元なのにもかかわらず土地の名産を知らず、こういったイベントで改めて知る。
今回のイベントの主旨である「鍋文化の対決を通して日本の食文化の普及や地域おこしを応援する」を見事に実現していると言えます。さすが坂戸。(自分が不勉強だっただけ)
そのタマシャモすき鍋は、濃味の醬油ベースの田舎風な味付け。
たっぷり野菜のスープに、マスター自ら「私が育てた地鶏です。魂をかけて育てました」と声を張り上げる、まさに入魂のタマシャモ。
さらにそこに揚げ餅が載るというボリューム。これでお値段400円。超お得。
タマシャモはお肉の弾力がすごく、かといって固くなく、味もしっかり。スーパーで買う鶏肉とはさすがにモノが違いますね。ボリュームたっぷりではありましたが、あっという間に完食。ごちそう様でした。
ところで、このブースで鍋を振る舞われていた方が声を張り上げていた「私が育てた地鶏です」という言葉。
近年の食を取り巻く環境、とくに食育という観点では重要なことだと思います。
過剰な食品供給、それに伴う廃棄などが社会問題になって久しいですが、野菜や魚・肉にいたるまで、現代の子ども達が食材の生産過程を目にし、実際に食卓にあがる食材と結びつけて考えることはどれだけあるんでしょうか。
かく言う私の子どもも実は野菜を残すことが多かったのですが、自宅の菜園で野菜を自分で育てたところ、いくつかの食材への好き嫌いを克服できました。
やはり自分で手塩にかけて育てたものを粗末にするには忍びないという意識が自然と働くようで、健全な食への意識を育むためには生産過程に目を向けることが(月並みな意見ではありますが)大事なんだなあと改めて感じました。
ここで評価です。
<採点:★5つ、☆は0.5>
総合点……★★★★☆
鍋の味……★★★★☆
入魂度……★★★★★
超~旨っ!所沢野菜とトマトの絶品鍋(埼玉県:所沢市)
さらに埼玉西部地区つながりです。
ブースに向かってみると、ここだけ他と違ってなんだかお洒落です。
- 寸胴・大鍋の代わりに漆黒の鉄鍋。
- 鎖でぶら下がっている姿もなんだかお洒落。
- 鍋の前には大きなクマのぬいぐるみ。
- 提供してくれるスタッフも洋風の調理服。
世界がなんだかキラキラして見えるこのブースが提供するのは、所沢野菜のトマト鍋。
物珍しさなのか、鍋そのものが目当てなのか、だいぶお客さんが並んでいます。
鍋を受け取って、お好みで粉チーズとオリーブオイルをかけて食します。こんなところもお洒落。
そのお味は。
2つ和風が続いたせいか、率直に言って新鮮です。トマトの酸味がとってもさっぱり。舌がリセットされる感じですね。もちろんたっぷり野菜も美味しい。
このギャップ効果を狙ってトマト鍋を出展すると決めたのであれば、このブースの責任者の方、かなりの策士です。さらに会場の奥まったあたりに位置している(=初鍋に選ばれにくい)ことも、地の利を活かしているといえます。
この戦略眼、鍋界の諸葛孔明と名付けたい。(実際にはブースの場所はあとから決まったと思いますが)
日本の懐石料理や西洋のフルコースなどは、口にする料理の順番、連続性を大事にしますね。
このあたりも意識しているのであれば、食も扱う出展者の西武学園、さすがプロを養成する学校だけあるなと唸らざるを得ません。(はずれてたらどうしよう)
<採点:★5つ、☆は0.5>
総合点……★★★★
鍋の味……★★★★
戦略度……★★★★★
このあたりでだんだんおなかがいっぱいになってきます。
何せ汁物。この短時間ですので体が処理できず、おなかがたぽんたぽんしている感じ。
もともとの予定では、あと2つ食べる予定だったものの、断腸の思いで「はっと汁」を諦めます。ごめんなさい!
竹千代鍋(静岡県:静岡県静岡市)
聞き覚えのある名前、竹千代。そう、かの徳川参百年の開祖、徳川家康の幼名です。
竹千代鍋とはその家康が愛した具材11種類をつめこんだ鍋とのこと。
大鍋で一気に調理する他の鍋と違うのは、十字に仕切られた鍋にそれぞれの具材を区分けているところ。ここからおばさん達が丁寧にひとつずつ器によそってくれます。
質素倹約・質実剛健のイメージの強い徳川家康。
鍋の見目もそうかと思いきや、一つ一つの具材はありふれていつつも、盛りつけられた鍋はとても色とりどりで綺麗です。先ほどのトマト鍋は別としても、「茶色」一色になりがちな鍋にあって、目でも楽しめる鍋でした。
ここでその11種類の具材をご紹介。
- 鶏の手羽元
- こんにゃく
- 大根
- 白菜
- しいたけ
- 里芋
- 焼き豆腐
- 人参
- 静岡茶入り団子
- ゆであずき
- …
あれっ、あと一つなんだろう? すみません、わかりませんでした… いずれにしてもこれだけの具だくさんでお値段は300円。おトクです。
小豆は縁起物で「豆に生きる」や「豆々しく働く」などの意味があるとされ、世間一般の徳川家康のイメージと繋がるところもありそうです。
そんな竹千代鍋は具材の種類も影響してか、かなりボリューミー。おなかいっぱいもここに極まれり。となり、ここで打ち止めです。
<採点:★5つ、☆は0.5>
総合点……★★★☆
鍋の味……★★★☆
歴史を感じる度……★★★★★
以上、今回食べることのできた鍋はたったの4/50。ましてや日本全国、どれだけの種類の鍋が存在するのかはわかりません。
通信・流通が発達した現代で食が平準化していくなかで、今回振る舞われた個性的な、またはなじみのある鍋達は、食文化という形でそれぞれの地域の歴史・土着の文化を伝える役目をしっかりと果たしているんだなと感じた一日でした。
さて、次回は番外編。ニッポン全国鍋グランプリ2015で出会ったゆるキャラ達を紹介します。
(文責・大崎)