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[コソ鍋・拾]鍋の様式美から紐解く表現のおもしろさ

馮です。こんにちは。

早いもので2月もあと1週間となりました。

先週、先々週と日本列島に雪を降らせた南岸低気圧、今週はひとやすみだったようで何より。おかげさまで、無事第弐鍋を開催できました。詳しくは次の記事で紹介しますのでお楽しみに!

今回は赤と白のコントラスト――巴鍋

第弐鍋の前に。

今回は節目となる10回目のコソ鍋です。ブログ開設から1ヵ月弱、いろいろな鍋をつついてきましたが、まだまだ行きますよ~

さてさて。[コソ鍋・拾]を飾るのは、先日、つついてきた赤から 銀座店さんの「赤から鍋」と「塩もつ鍋」の組み合わせ、「巴鍋」です。

さっそく写真を。どーん。

左が赤から鍋。味噌味。右が塩もつ鍋。塩味。

どうですか。この色味、組み合わせ。食べる前から目で楽しめます。
そして、これで二人分。ボリュームたっぷり。肉も野菜もたっぷりです。
つつき甲斐がありますね 🙂

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ここ赤からさんでは、赤0番~赤十番まで、全11段階の辛さを選べるのが特徴です。ちなみに、公式サイトでの、後半の辛さの説明を紹介してみると……

赤七番 『暑くないのに汗が出ます。』
赤八番 『辛党の方ならおすすめです。』
赤九番 『ムシャクシャしている方。』
赤十番 『恋しくないのに涙が出ます。』

なんでしょう。味を説明しているはずなのに、もう味とは関係ない感情表現が使われています。そのぐらい辛いってことですね。辛いものが好きな方はぜひ赤十番を試してみてください。

ちなみに僕たちは最初赤三番、追加で赤五番を楽しみつつ、もつ鍋も美味しくいただきました。パッと見、中華料理の火鍋にも通じる鍋ではありますが、辛味噌味、塩味は和風の味付けで、さらに鍋の形が「巴」型ということで、味も見た目もかなり和の雰囲気を醸し出していました。

中でも中国の火鍋と違うのはこの巴の形です。こういう、日本ならではの見た目、日本の鍋の様式美と言っても過言でないと思います。

そして、今回の巴鍋の味の楽しみ方。赤・白個別の味で楽しむのも良し、自分の好みで赤・白混ぜて楽しむのも良し。「[第壱鍋]鍋とは共産主義の一種の発現である 」で取り上げたように、この巴鍋も御多分に漏れず各人の好みに合わせて調整が可能な鍋で、しかも二種類の味があるので、味付けも二倍、煮方も二倍楽しめるわけです。さらに、味を混ぜるといった複合技も可能。辛いのが好きな人も苦手な人もオススメです!(辛さも選べますし)

ちなみに、この巴鍋は限定メニューとのことだったので、ご興味のある方はお早めにお試しください。

日本の伝統文様

巴鍋の味の魅力をお伝えしたところで、今回取り上げたいテーマは「日本の伝統文様と様式美」。この様式美というのは日本文化が持つ魅力の一つではないでしょうか。

まず、巴鍋の名前にも入っている「」とは、日本の伝統文様の一つで、

巴(ともえ)は、コンマあるいは勾玉のような形をした日本の伝統的な文様の一つ、または、巴を使った紋の総称。巴紋(ともえもん)ともいう。(Wikipediaより)

とあるように、勾玉を組み合わせたような、幾何学の組み合わせの総称。一般的には「三つ巴」という使われ方をよく耳にするので、三という数字をイメージしがちかもしれませんが、「二つ巴」「四つ巴」など、他の数と組み合わせても用いられる言葉です。

言葉の由来は、

ともえ(ともゑ)」の起りには、弓を射る時に使う鞆(とも)を図案化したもので、もとは鞆絵であるという説、勾玉を図案化したものであるなどの説がある。(同Wikipediaより)

となっていて、弓の鞆から生まれたとする説と、勾玉から生まれたとする説があるようですね。個人的には、巴見た目が持つイメージはどことなく神秘的でもあり、祭祀にも使われたという勾玉から生まれた説に一票入れたいところ。

今回取り上げた巴以外にも、他にも波文様や市松文様など、日本の伝統文様も鍋同様に多様な種類があって奥深い。

そして、これらの伝統文様を上手に扱い、美術品や工芸品として表現した結果が「様式美」につながっていきます。形はもちろん、色味だったり、佇まいだったり。対象物から出てくる雰囲気の美しさとも言えるでしょうか。さらに「様式美」という概念は、目に見える表現だけに限って使う言葉ではなく、たとえば、何かを作ったり、何かを行動したりするといったような手順に当てはめることも可能です。ですから、美しく洗練された鍋のつくり方、鍋のつつき方、なんていうのも様式美にできるわけですね。僕たち「鍋、つつこ。」が考える鍋の様式美、いつかYouTubeにアップしてみたいです。

それと、今回もう一つ、僕が気になったのは「文様」という漢字です。巴について調べていたとき、当初僕は「模様」という漢字で巴を認識していました。ところがWikipediaの説明にもあるように「文様」という漢字があてがわれていたのに気づいてさらに調べてみたところ、概念と定義によって「模様」や「文様」が使い分けられることを知りました。

NHKことばのハンドブック』によると、

模様:「文様」「紋様」を含む広い意味で一般的に使う。
文様:美術・工芸における模様の様式をさす場合は「文様」と してもよい。
紋様:特定の分野で慣用が固定している場合に限って使う。

となっています。つまり、模様が最も広い意味を持ちつつ、特定の意味で表現したい場合は「文様」「紋様」を使い分けることができるわけです。漢字という、日本を含めた極東アジアの言語ならではの特徴ですね。これまた奥深い。対象物の見た目としての表現、文字という概念に紐づく表現、こうした表現のおもしろさっていいですね。

今回は10回目のコソ鍋記事ということで、初心に戻って「鍋」と「日本文化」に注目して書いてみました。「鍋」と単純に言っても、その味や種類、つくり方、食べ方などはさまざまで、さらに「鍋」を取り巻く言葉や概念、「鍋」を含めた「日本文化」にはまだまだ知らないことがたくさんあるなと思ったわけです。こういう奥深さこそが、僕たちが「鍋、つつこ。」を始めようと思ったきっかけでもあり、動機でもあります。

これからも、鍋を楽しむことを第一に、味覚に加えて知的に楽しむ、そんな活動を続けていきたいです。

美味しく、楽しく、おもしろくをモットーに。これからもたくさん、鍋、つつこ。

(文責・馮)

今回つついた鍋

種類: 赤から鍋 / 塩モツ鍋
店名: 赤から 銀座店
URL: http://r.gnavi.co.jp/g053419/
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